久しぶりのブログアップ、そして久しぶりの早朝ロケ。4時半に起きて、5時半には都内某所へ。
ジュネーブショー取材&居残りバレンシア試乗会で、先週末に帰ってきたのだけれど、きっちり時差ぼけに。だからそれほど苦もなく起きれたんだが、ヨーロッパ取材って2泊4日ぐらいがちょうどいいんだわね。ぼけなくて。
できるカメラマンは仕事が早い!ちゅうわけで、5時40分スタートで6時半には9カットを取り終え、終~了。早!!それでもOさん、「めちゃくちゃ格好いいよ」と。仕上がりが楽しみ。ちなみに被写体はアウディTTクーペ。早朝の淡い光の中で、なかなか怪しく見えてたな。あらためて、気に入った。
今後の打ち合わせを兼ねて、神谷町のロイヤルホストへ。ロイホといえばなぜかカレーなイメージなんやけど、朝飯メニューになくて残念。
なんかね、ヨーロッパにいた間中、カツカレーって単語が頭の中で木霊していて、とってもカツでカレーな気分やったわけよ。W君の耳元でぼそっと囁いたってん。カツカレー、って。恨めしい顔したはったよ。それを今ここスペインで言うかアンタ?って顔やった。みんな、好きなんや。カツカレー。僕はビフカツカレーが一番好きやけど。
気を取り直して、朝食御膳(飯、みそ汁、目玉焼き、ソーセージ、コーヒー、アップルジュース)をいそいそかっこみ、再びの眠気と戦いつつ、お変わり自由のコーヒーをすすりながらだべった話が、本日の本題。
なんか、デジタルってやだね。便利だけど、つまらないね。まあ、ぜんぜん新しくない話だけど。例えば、写真。フィルムで撮ってたときは、カメラマンにも見守るスタッフ一同にも、もっと緊張感があったというか、みんなで被写体を見つめながら息をのんで“きれいに写ってくれ”って念を送る一体感があったというか、とっても空気の密度が濃かったように思うのよ、現場の。全員が息を止めてる、みたいな。
カメラマンかって、必死やった。限りあるフィルム、確認のできない上がり、ばっちり撮れたという本人にしか判らない実感。編集者だってそう。ファインダー覘いたって、構図しか判らない。車の走りなんて、ぜーんぶ任せるしかない。撮れたよ、という言葉しか信じられないわけで。
だから、現像からあがってくるのを、わくわくどきどきしながら待った。スリーブの1枚1枚を、食い入るように、それこそ拡大鏡を使って穴が開くほどみた。見ながら、必死で頭を巡らせる。企図した展開がそのまま使えるのか、予想以上に素晴らしい写真を大きく使うために構成を少しいじるのか、その逆もしかり。
慎重に、それこそ1点かぎりの奇跡的ショットの場合など手を震わせながら、はさみで切り離したポジをピンセットで摘み、ポジ袋に入れて、それを構成順に並べる。ここで、もう一度、企画を整理して、本ラフを組み立て・・・。
文字だってそうだ。手書き原稿もらって、写植打ってもらって、ゲラみつめて間違い必死で探して、校了日にははらはらどきどきして。あの、せっぱつまった後のなさ感が懐かしい。達成感が、今更うらやましい。今とは、考えてる時間の質と量が違うよな。面白い雑誌が少なくなったはずやわ。ライブ感のない写真ばっかりになってしもうてね。
昔、松下幸之助翁が、「同じ仕事を同じ時間でやっていては駄目。東京大阪の移動だって昔は歩きだったけど、今なら新幹線で・・・」なんてことを言ってはったけど、全部が全部そう言い切るのは、ちょっと違うんとちゃうかな。特にモノ造りに関することの場合。
なんてね、そんな話で盛り上がっていると、そういや我々の生活だって、デジタルのおかげで便利になったけど節目のない生活になってますなあ、と。
会社と自宅とホテルと飛行機の差がなくなり、24時間態勢で電話やメールを放っては受け入れ、今日も昨日と明日との区別なく仕事を続けてしまう。かといって、携帯やラップトップのない時間は、心細くて仕方ない。
だから、食い物に奔るのかもな。唯一の節目であり、悦び?だったらいつまでも、カツカレーにどきどきしたいものやね。
●乗ったクルマ
・アウディTTクーペ(スタイルよし、走りよし、価格よし)
・キャデラックSRX(やっぱり巧いよね、この手のSUVを造らせると)
・VWトゥーランTSI(140PS仕様で十二分です)
●書いたクルマ
・ ホンダクロスロード、日産スカイラインGT-R、W204M・ベンツCクラス、マセラティグランツーリズモ、など
●読んだ本、雑誌
・雪闇(藤沢周)
●食べたもの
・ロイホの朝御膳