CarKingdom.jp(自動車王国)

自動車をメインに、気になる身の回りのネタを編集人独自の視点で斬る自動車王国。

Editor's Voice

俺たちのミッレミリアPART11

投稿日:

バルセロナというと思い出す作家がある。カルロス・ルイス・サフォンだ。この“ドライブ”のつい1ヶ月ほど前にバルセロナを訪れた際、たまたま成田で買った文庫本が、カルロス・ルイス・サフォンの『風の影』(集英社文庫、訳/木村裕美)だった。
それは、私にとって、ここ5年間のあいだで最も示唆に富んだ小説であった。どれだけ示唆に富んでいたかというと、前後巻合わせて800ページの中で、合計17箇所もページのはじを折って印をつけたほどだった。気に入ったフレーズが、フェルミンという40歳前後の魅力的な脇役(!)から発せられるさまを17回も読むなんて、普段の小説ではまずないことだった。
例えば、こんなフレーズだ。
『だって男は、いまさら言うまでもないが、女とちがって、逆に生殖器や消化器のいいなりですからねえ』
(男は)『立って小便ができるんですから、なにかしら、代償をはらわなきゃいかんでしょうが』
『わたしぐらいの年になるとねえ、自分のゲームがはっきり見えはじめるか、もう完全に投げだしちまっているかのどっちかなんだ。人生なんて、せいぜい三つか四つのことのために生きる価値があるんであって、それ以外のことは、畑にまく肥みたいなもんですよ』
『運命はね、いつも道の曲がり角にいるんです。(中略)ただし、家までは来ちゃくれない。こっちから出向いていかなきゃいけないんだ』
夜中のサービスエリアでドライバーチェンジをしつつ、私はCLサフォンが描いた第2次世界大戦前後のバルセロナの、混沌としたけれどどこか人を引きつける情景に想いを馳せていた。その街角にはフェルミンがいて、説教じみてはいるが示唆に富んだフレーズを、私に語りかけるのだった。

googleアドセンス

googleアドセンス

-Editor's Voice

執筆者:


comment

関連記事

no image

希望ナンバー その2

朝9:00、神奈川県自動車会議所の予約センターへ電話。 …出ません。 こういうところのサービス開始時間って何時なんでしょうね? 調べてなかっただけなんですが… 9:45、1回、 …

俺たちのミッレミリアPART1

順調すぎるときこそ、覚悟を忘れるな、である。 好事魔多し、とよくいうが、べつだん目出たくも良くもないが順調といった流れのときでも、魔はいたるところに潜んでいるものだ。 その日の夕方、ルボランY編集長と …

no image

968とS2000

968とS2000で迷う理由は、クルマの性格がまったく違うところにあります。 968は1気筒あたり750ccと1気筒だけで軽自動車を超える ビック4と呼ばれる4気筒3000ccエンジン。 トルクカーブ …

ポルシェが手掛けたデザインは意外と身近!?

最近、何かと高級車メーカーとボートメーカーのコラボがもてはやされています。まぁ、昔からスーパーカーメーカーとボートメーカーのコラボは多かったんですけどね。そんななか・・・、(深呼吸して、ゆっくり読んで …

no image

スーパーカーでスーパーカーを迎えにゆく

前日にナンバーが無事に付いたという知らせを受け、 予定通り、日産プリンス東京販売の鮫洲店へ向かう。 朝10時半に納車、の約束。 新型GT-Rは“マルチパフォーマンス・スーパーカー”だと日産は言っている …

Facebook

アーカイブ

カテゴリー