M・ベンツらしさを得た実力派
前後とも新しいサスペンションが装備されましたが、どんな凸凹道やぬかるみでも立ち往生しないよう、新たに4ESPを採用。これが、グラチェロの電子切替デフ”クォドラドライブ”とほとんど同じ役目を果たす優れものなんですね。つまり、1輪さえ接地していれば、タイヤのグリップ限界を超えない限り前進あるのみ!という超便利クロカンシステム。
ヒルスタートやダウンヒルコントロールも、もうRAV4にもついているぐらいですけれど、もちろん装備しています。
試乗会に用意されていたのは、そのML500オフロードパッケージと、ノーマルのML500、そしてスポーツパッケージ(19インチ)のML350でした。
バランスが良くて、走りの気持ちよさではML350の19インチでしょう。巨体にも関わらずクルマとしての一体感が感じられて、腰高な印象も控えめ。高速クルーズは最高だし、乗り心地も硬いが悪くない。パワーだって十分!最近のM・ベンツの350系はぜーんぶオススメです。
ML500は、まだ古いエンジンのままなんですよね。だからって不満はないのですが、19インチの350に比べて、とびきり高性能という感じがしないんです。動きもちょっと鈍重。特にエアマチック車はばたばた感があって、感心しませんでした。ルックス的にも、350のスポパケ、ええやないですか!
BMW X5の後継作がまだですが、現段階でのニシカワ流ユーロSUVライバル比較を、簡単にやっときましょう。
新しいMクラスは、背の高いM・ベンツが欲しい人へ。Gの乗り味が古くてかなわんという方にも。総合的にみて、ポルシェカイエンやVWトゥアレグよりもクルマとしての満足度は高いです。ただ、カイエンにはあのポルシェに乗るという効し難い魅力がありますし、トゥアレグには長持ちするプレーンな良さがある。質感的には、どうかな、ちょっと負けているかな。今のX5は、オンロードの気持ちよさに限れば、まだまだ現役でしょう。あと、SUVと言っちゃ失礼なレンジ系。こりゃもう、アナザーワールド。アウディの新しいSUVもひっくるめて、もう1段階オトナ。ボクなんか、オトナになりたくないですから、カイエンのV6あたりに乗りたいですけどね!