今年1月、ポルシェはドイツの電動自転車メーカー「ファウツァ」(ファウザと呼ぶところもあるようですが、ドイツ語でFauzaは・・・)の発行済み株式20%を取得しました。その際、追加購入のオプションも契約に盛り込まれていたのですが、まさかこんなに早くオプションを行使するとは思いませんでした。ポルシェは6月8日にファウツァの発行済み株式を全取得し、完全子会社化したことを発表しました。
ファウツァは軽量電動自転車の“ドライブトレーン”に強くBottecchia、Canyon、Corratec、 Fuji、Cairn、Herculesなど実に40のブランドにモーターとバッテリーを供給しているそうです。このドライブトレーンはモーター、ギア、センサーを備え静粛性に優れているだけでなく、他社を凌駕する軽さを誇るそうです。8月にリリース予定の最新ドライブトレーン「Fauza Ride60」は最高出力450Wでたったの1.96㎏しかないんですって。
自動車メーカーによる自転車の投入はいつの時代もありましたが、基本的にはライセンス供与ばかりでした。その点、今のポルシェは違いますね。
ポルシェのベンチャーキャピタル法人、ポルシェ・ベンチャーズは2018年からクロアチアの「グレイプ(Greyp)バイクス」の株式を10%保有しており、昨年11月にはポルシェ本体が株式の過半数を取得しています。奇しくも、グレイプバイクスはリマック(ポルシェ、の創業者、メイト・リマックが手掛けている電動自転車メーカーです。なお、リマックとポルシェはJV(前者55%、後者45%)を立ち上げて、傘下にブガッティを収めえています。
もとい。
オランダのポンホールディングス(Cannondale、Schwinn、Cervélo、Santa Cruzなどの自転車ブランドを所有)とJVを立ち上げ、ポルシェの電動自転車のみならず、「マイクロモビリティ」のソリューション提供も行う、と発表されています。
ポルシェによる電動自転車進出は、カーボン・ニュートラル時代において、電動自転車が今以上に流行る、と目論んでいるからでしょう。もちろん、ポルシェ車との親和性もイイのかもしれません。プレスリリースで使われているパナメーラ・スポーツツーリスモと電動自転車の写真、純粋にカッコいいですもんね。
遠出をするのには自動車を使い、滞在先での散策は電動自転車で、というライフスタイルを提案してきても何ら違和感を覚えません。何なら自動車から電動自転車を充電できるようなオプションも提供されるかも?しかも電動自転車なら整備や修理でディーラーへの来店機会も生み出せる?
現在、高級嗜好品はバンバン売れる時代のようです。ポルシェの電動自転車も相当な人気が出るものと予想されます。