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Editor's Voice

俺たちのミッレミリアPART13

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バルセロナを少しこえたあたりで運転を交代した私は、懐具合の寂しさとは裏腹に、快調にセアトアルテアを飛ばしていた。当たり前だがゴルフのようなクルマで、思いのほか真っ当な走りをみせてくれる。私は130~150km/hぐらいをキープしながら真っ暗な道を駆け、進路を内陸方面にとって、サラコザ、マドリッドを目指した。
地図上では2つのルートが選べそうであった。バルセロナからバレンシア方面、つまりは海岸線を走って南下しマラガあたりからセビーリャ入りするルートと、一旦サラコザ、つまりは内陸部に入りそこから首都マドリッドを経由してコルドバ経由でセビーリャに達するルートだ。
私は何となく距離も短そうだし、気分的にも海岸線を走りたかった(スペインの枯れた内陸を夜中に走るのってあまりいい気がしない)。ところが、Yさんが、日付けが変わる前、これから向かう試乗会の日本人スタッフに状況説明の電話をした際(向こうは午前1時に飛行機でセビーリャ入りすると思っている!)、ホテルの人間にどっちのルートが近いか聞いてくれていた。
ホテルのスタッフ曰く、内陸ルートの方が早いという。距離よりも時間ということなのだろう。実はそのとき、日本人スタッフからある“吉報”を受けていた。試乗会のスケジュールが一部変更になり、午前中のメニューが2日目午後にまわされたという。「気をつけてゆっくりいらしてください」という現地からの優しい言葉に2人とも涙しそうになった、というのは言い過ぎである。セビーリャは、まだ彼方だ。ガンダーラのように、夢の彼方だ。寝てはいけないが。
一抹の不安は、今やジュウシマツが囀んばかりになっていた。ついさっき、バルセロナの勢力圏を出た際にも、現金で15ユーロほど払わされた。またもや、見知らぬカードしか使えなかったのだ。残りの距離を考えると、現金が全く足りない計算である。このとき既に我々は、マルセイユからセビーリャが1500キロ以上あるであろうことをうすうす感づいていたが、かろうじて口に出さないだけの思慮は残っていたのだった。
ひょっとして、途中で高速道路を降りなきゃ行けないかも知れぬ。そうなれば、朝飯前に着きたいという野望が粉砕される。どころか、せっかくの吉報もムダになって、結局パリ経由の飛行機で行った方が早かったなどという笑えない話にもなりかねない。飛行機に負けることはどうしても許せなかった。特にイベリア航空にだけは・・・。
いずれにせよ、そのまま私は高速道路を走るしかない。嗚呼、南無三。とにかく現金が尽きるまで走るしかないのだ。金の切れ目が運の切れ目、というわけである。

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