それにしても、バルセロナまでが遠かった。実を言えば、レンタカーを借りようと言った時点で、私はマルセイユ~セビーリャ間をあって千キロちょいだとふんでいた。飛行機が飛んでいる時間が、1時間+1時間だったから、単純に東京~大阪×2=1000、と思い込んだのだった。
その思い込みが大いなる悲劇だったと知るのは、さらに12時間後のことである。
ほどなく、バルセロナまで350キロなどという、日本人を馬鹿にしているとしか思えない道路案内が出てきた。Y編集長も私も、それは何かの間違いだろうばかり、オレは振り込め詐欺なんかに引っかからないぞという顔で、「ホントにそれだけもあるのかなあ」と口を揃えた。
ホントにそれだけあった。マルセイユから、スペインの入り口だと思っていたバルセロナまで400キロ以上の道のりだった。さしたる感動もなく、国境の旧検問所でスペインへの入国書類をどうしたものかと慌てたものの、結局そんなものを受け取ってくれる場所もなく、我々はスペイン領に侵入した。
日付けも変わっており、バルセロナがいつもの横浜厚木から東京に戻るような感覚になったとき、時計の針は既に午前1時を回っていた。私はY編集長に、次のパーキングで運転の交代を申し出た。彼は再び、快諾してくれた。
バルセロナの海老名SAは、しかし、閑散としていた。
俺たちのミッレミリアPART10
投稿日:
執筆者:koganemushi