当たり前のことですが新車には定価がありますが、中古車に定価はありません。中古車相場は需要と供給に支配されています。そこで登場するのが“転売ヤー”と呼ばれる商魂逞しい投機家たちです。
転売ヤーは「合法」ですが、その存在が好まれないのは本当に商品を欲しがっている人の手元に メーカーが“適正”だと設定した価格で届かないばかりか、転売ヤーたちの横行により一般消費者がその製品やブランドから“どうせ買えないし、どうせ転売されるものばかりだから、もういいや”と遠ざかってしまうから、です。
アメリカン・マッスルカーの代表格、シボレー・コルベットには新しいエンジンを搭載した「Z06」が追加されます。従来とは異なるクランクシャフトを持ち、ヨーロッパのスーパーカー界もびっくりなサウンドを奏でることが期待されており、前評判だけでも需要はうなぎ登り。
そんなコルベットZ06がアメリカでは販売開始されたのですが、同時に転売ヤー対策の話がポロポロと出てきています。先週頭にGMが打ち出したのは、1年間Z06を所有したオーナーには、GMディーラーで使うことができる5000ドル相当のポイント付与、でした。この話、一瞬“いいじゃん!”って思うんですけど・・・、明らかに転売したほうが儲かる金額だったんです。ほぼ無意味だな、と思い自動車王国では取り上げませんでした。
しかし、金曜日に打ち出された転売ヤー対策はZ06に限らず、GM傘下のハイパフォーマンスカー(キャデラック・エスカレードV、GMCハマーEV)に当てはまるものです。これらの車両を1年以内に売却した場合、GM車のオーダーを制限する、というもの。つまりはブラックリストに載せるよ、って話です。
そればかりか、新車時に付帯されている保証の一部、次オーナーが継承できない、という厳しいもの。さすがに次オーナーには罪はないと思うんですがね・・・、転売ヤー徹底排除する、という立場を明確にしたかったのでしょう。
強制的に1年間の残価設定ローン、2年目に購入もしくは売却オプションではダメだったんですかね・・・、って自分で書きながら、1年後の相場変動リスクを抱えたくない、というGMの立場も見え隠れしていました(笑)。