フォード・オーストラリアでインターンから現地法人の社長に上り詰めた、ジャック・ナッサー。1999年1月からは本家、フォード・モーター・カンパニーのCEOの座に就きました。レバノン出身のジャック・ナッサーは長刀を振るうコストカッターとして有名で、よくカルロス・ゴーンが比較された人物でもあります。
不採算モデルの廃止、不採算工場の閉鎖、不採算部門の切り離しなどを行ったほか、ジャガー・ランドローバーやボルボの買収の最終決定権者でもありました。そのほか、ヨーロッパの自動車修理チェーン買収、アメリカのジャンクヤード買収、マツダ(日本)の自動車ローン部門買収、宇宙衛星を用いた音楽提供サブスクリプション導入など、本業以外からの収益で本体の業績を伸ばそうと尽力した人物でもあります。
結果、1999年の最終利益は65億ドルで自動車史に残るものとなりました。
そんなジャック・ナッサーでしたが、フォード車採用のファイアストーンのタイヤリコール問題がらみの巨額賠償金、ナッサーが導入した人事評価システムの限界、投資家やアナリストから上がった収益拡大のための事業多角化への疑問符などで・・・、2001年にはフォードのCEOの座から退くことに。
ただ、ジャック・ナッサーは隠居したわけではありませんでした。
彼は、いわゆるひとつの“職業”経営者で、アリアンツの経営戦略アドバイザーに就任していたり、JPモルガンのプライベート・エクイティ子会社「ONE EQUITY」のシニア・パートナーに就任していたり、20thセンチュリーFOX&KOCの取締役に就任していたり、数々の大企業の取締役・社外取締役を務めていました。そして、2010年から2017年までは世界最大の鉱業企業、BHPグループの会長職の座に・・・。
そんなジャック・ナッサーがつい先日、マイアミの自宅を売却していました。隣り合わせの物件で445と441 E RIVO ALTO DR, MIAMI BEACH FL 33139が住所です。大丈夫です、公の情報だから(笑)。
2005年に500万ドルで購入された物件のようで先週、1800万ドルで売却できたそうです。へっ、1300万ドルのキャピタルゲイン???
インターンから世界的大企業のトップの座を渡り歩いた、職業経営者・・・、本当に凄いです。その実績も凄ければ、不動産のポートフォーリオも凄い・・・。
2018年にはオーストラリア・メルボルンの262 Domain Rd South Yarra 3141 VICのペントハウスも売り出し開始。なお、この建物、ANZ銀行のCEOやIOC副会長なども住む、通称「タワー・パワー」・・・。フロアは異なりますが、外観はこのYouTube動画で確認できます。
終活の一環なんでしょうか? 不動産は現金化して、株式や債券に変更して、ファミリィトラストにでもするんでしょうねぇ。こうして財産は家族に受け継がれ、いずれは銘家として名を馳せるのでしょう・・・。そのほかニューヨーク、ロンドンにも不動産を所有しているそうですよ、ジャック・ナッサー。
あれ?カルロス・ゴーンは、ジャック・ナッサーの不動産錬金術に憧れた?
日本にも最近、自己PRが物凄く上手な“職業”経営者の存在が目立ってきましたね。こっそり、ウォッチしてます(笑)。