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8代目ホンダアコードが登場

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国産ミドルクラスサルーン/ワゴンは難問を抱えている

万事そつなく仕上げられたセダン&ワゴン、なんてフレーズが決して褒め言葉にならず販売にも結びつかないのが、今の日本市場なんだよなあ。新型アコードに乗って真っ先に感じたのは、そういうことでした。悪くないと思いますよ。ことによっちゃ、インスパイアより完成度は高いかもしれない。


ディテールデザインの好き嫌いはともかく、パフォーマンスもユーティリティも、ほとんど問題なく仕立てられています。2.4l一本にしぼったエンジンは不満のない仕事をしてくれるし、ハンドリング関係は硬めの欧州車フィール好きには支持されるものだろうし、直進安定性だって満足できる。特にワゴンのツアラーなんかは、プロポーションがヨーロッパ車風で、その走りのキャラと見合ってますしね。
でも! ボクなら何の迷いもなくオデッセイを選ぶと思うのです。セダンが好き、ミニバンが嫌い、という生理的なものを最早超えて、オデッセイの方が乗る買う楽しむ価値がある。ホンダのミドルクラスサルーンに、われわれが求めたいものとは何か? 以前ならハイパフォーマンスもその一つでしたが、それすらも淘汰されました。今、ここに至って、ホンダのアコードというクルマに、マーケットが望むことも、メーカーが提供したいことも、いずれも訳が分からなくなっている。そういうことなんだと思います。だから、いいクルマだけど欲しくない。
アコードだけじゃありません。ミドルクラス以上の国産サルーンは、クラウンという歴史と伝統のあるブランド物以外、マーケットイン・プロダクトアウトの両面で、確たる主張や存在理由を失っているのだと思われます。セダンが不必要というわけじゃないことは、クラウンのみならず欧州プレミアムブランドのサルーンたちが堅実に売れ続けていることからも分かりますから。
とまあ、日本におけるミドルクラスサルーン論はなかなか結論の見えない難題ではありますが、それとはウラハラに、世界中で売らなきゃいけないモデルであって日本向けは単なるお裾分けにすぎないと割り切ってしまうことも可能です。そういう観点から、客観的に評価をすると、以下のようになると思います。
実用車としてのアコード・アコードツアラーは、マーケットが巨大なだけあって、非常によく練られたクルマです。まずはサイズアップによる居住性の向上を挙げましょう。ドライバーズシートに座れば、細められたAピラーと相まって、はっきりと空間の広がりを感じます。左右のカップルディスタンスやショルダースペース、後席のニースペースに至るまで、きっちり進化させてきました。エアコンバルブのついたカップホルダーや各種収納スペースなど、細かな配慮も行き届いています。
旧型では積載能力を第一に考えてワゴン専用のホイールベース&シャシーを採用していましたが、その名もツアラーと変えた8代目では、セダンと共用になりました。このクラスのユーザーは積載能力よりもサルーンと同じ走りを重用視する、とはホンダの言い分。
なるほど、ユーザーの多いヨーロッパのミドルクラスワゴンはほとんどサルーン共用で、積載容量もセダンよりたくさん積めればそれでOKのような感じ、ではあります。けれども実際には、それでは飽き足らぬヘビーワゴンユーザーも多くいらっしゃるはずで、沢山積めてセダン級に走ればそれはそれで他にはないホンダのアコードの魅力になったはず、と思ったりもするのですが・・・。
もっとも、荷室の使い勝手は上々です。横幅もたっぷりとあって、フラット。小物用サイドポケットやフロア下収納、カーゴネット、ステンレス製ステップ、タイダウンフックなど、小ワザも効いています。欧州車では常識のロール式トノカバーも装備されました。また、欧州車でもプレミアムブランドにしか設定されていない、パワーテールゲートも嬉しい装備(iLに標準)。運転席からだけでなく、スマートキーやキーレスエントリーからもリモコン自動開閉できます。
最新の電子制御装備も、欧州車のそれに比べれば相当にハイレベルです。VSA協調型操舵力アシスト制御(モーションアダプティブEPS)などは、安全でレベルの高い走りを同時に実現する、実にホンダらしいシステム。その他、アダプティブ・クルーズ・コントロールやレーンキープ・アシストシステムなど、現代のスマートドライブにマッチする装備も盛りだくさん。こういった装備の数々は、グローバル市場において、設定の有る無しに関わらず、ニッポンのホンダ、ホンダのアコード、にさらなる高い評価を与えることでしょう。

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