CarKingdom.jp(自動車王国)

自動車をメインに、気になる身の回りのネタを編集人独自の視点で斬る自動車王国。

Editor's Voice

俺たちのミッレミリアPART9

投稿日:

最初のインターチェンジで、早くも道を間違えて、高速道路をおりてしまった。こうなると、いっきに不安が募る。運良く、行きたい道と並行に走る一般路におりたので、細かな道路標識に従っていけば、もう一度同じ高速に乗れるはずだった。
「あ、そのランナバウト、11時の方向で高速です」。ヨーロッパの交差点はランナバウト方式である。時間で方向を示すのが、もっとも確実だ。
ふたたび高速道路に入ったが、ナビが行き先を失うようじゃこの先が思いやられる。それに、夜が明けるまでまだ8時間か9時間はありそうだ。いくらなんでもそこまで運転を頼めない。しかも、夜なのだ。眠くなる時間なのだ。
私は眼鏡の緊急修理を決断した。「絆創膏ならあるよ」というY編集長のひと言に、一筋の光明を見いだしたのだった。
一旦、パーキングに入り、絆創膏をもらった私は、眼鏡ケースからおもむろに割れたフレームと指紋でべたべたのレンズを取り出すと、みてくれを気にせず、とにかくレンズが固定するよう絆創膏を駆使した。案外に難しいのは、視界の確保だった。絆創膏の端が少しでも視野に入ると、位置が位置だけに、伸びすぎた前髪以上に煩わしい。
何とかフツウに視力を取り戻した。ルームミラーで確認してみると、無様だった。キャンディキャンディの目が描かれた眼鏡より幾分マシで、ゴルゴ13の眼鏡を掛けるよりもちょっと格好悪いという有様だった。それでも、視界を取り戻したという安堵が、無様な有様を次第に忘れさせていく。
ついでにスペインの道路地図と、晩飯を食い損なったので水やチョコレートをなけなしの現金で購入した。窮地に陥ると、逆に気が大きくなることもある。残り少ないユーロを、しかももう日も暮れたというのに、気前よく使った。このことが、あとあと、ちょっとした事件を生む。
ともかく、この時点では、視力が戻ったこともあって、まだ期待できる未来があった。道は平凡で、景色を楽しむこともできなかったが、台風がやってきた夜のように、私はなんとなくはしゃぎたい気持ちにまで回復していた。

googleアドセンス

googleアドセンス

-Editor's Voice

執筆者:


comment

関連記事

グッドウッドに行けば空を飛べる?!

https://www.facebook.com/takeongravityより 「グッドウッド」と聞いて思い浮かべるのは、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」だったり「グッドウッド・リバ …

白人至上主義のホンダ・ディーラー?!

先日、KKK(白人至上主義の秘密結社)の一派「トラディショナリスト・アメリカン・ナイツ」のインペリアル・ウィザード(最高指導者)だったフランク・アンコナ氏が、頭部に銃撃を受けた状態で発見されました。妻 …

ときめきの報告

やっと600km。思った以上に気に入っている自分がいて、ちょっとビックリやね。なんだろ、ときめいているんかなあ。 多分に、色が大きいんだと思うよ。かなり目立つから、赤は。食い入るように見つめられるのっ …

no image

968を探して

マリンタイムブルーの968がオークションに出品されました。 CSじゃないけど、MTのそれは、かのカレの影響か、他より高め。 出品されて落札され、その後再び出品されます。 そのときは、2割弱高くなって落 …

ランボルギーニは12気筒NAエンジンを捨てない!

消費者からはSDGsへの取り組みが厳しく評価され、機関投資家はポートフォリオにおけるESG観点が求められ・・・、なんて皮肉はさておき、年々、排ガス規制が厳しくなっている自動車業界です。 つい最近では、 …

Facebook

アーカイブ

カテゴリー