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新型Sクラスは最上セダン

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どこまでも信頼してドライブできる

東京モーターショー前に発表されて以降、12月初旬までの時点でなんと3200台を受注するという猛烈な人気を誇っている新型Sクラス。しかもお値段1600万円の300台限定、S500LAMGパッケージから売り切ったというから凄いですね。輪をかけて日本におけるSクラス人気のすさまじさを知りましたよ。ちなみにSクラスの年間販売台数は、平均して5000台前後。


「一番高くていいから新しいのをスグに持って来い」式馴染み顧客への納車が優先されたんでしょう。新型車にしては珍しく、我々メディアの試す機会が遅れることとなりました。現時点で我々が物色できるSクラスは2エンジン仕様の3グレードのみ。つまりショートボディのS350、同じくS500、そしてロングボディのS500Lです。
S500/S500Lは、なんといっても従来の自然吸気AMG55エンジンとほぼ同パワーを誇る新開発の5.5LV8DOHCエンジンを積むことがポイント。パワフルかつウルトラスムースな印象はタウンスピードから高速走行時まで変わりませんが、気付いた点が1つ。機械的に円滑な作動フィールが随分と伝わって、ちょっと楽しいと思えるエンジンになっていました。これはニュースだと思いますよ、M・ベンツ車としては。
7Gトロニックが組み合わされ、W221型には必要に応じてステアリングホイール裏側のスイッチで変速可能な”ダイレクトセレクト”が備わります。シフト操作は、ステアリングホイール右側にあるレバーで行います。
結論から言うと、現時点で”常識的”に買える範囲内のクルマの中でS500Lは、最高の乗用車です。アウディA8やBMW7シリーズはもちろん、ジャガーXJシリーズもマセラティ クワトロポルテもキャデラックSTSも新型Sクラスには敵いません。現在、敵ナシの乗用車と断言してしまいましょう。
街乗りで早くもそのパワー感に驚かされました。ちょっとアクセルペダルをラフに踏み込んでしまうと、新V8ユニットは容赦なく387psの力を後輪に伝えるんです。電子制御の働きのおかげで危険な状況に陥るわけじゃないことを知りつつも、急激にトルクが湧き出すパワフルさに、一瞬口が開いたままになってしまいました。
インテリアに目を向けると、7シリーズのiドライブやA8のMMIに当たるコマンドシステムにも、先達をよく吟味して開発された印象を受けます。節度感が高くて小気味よい操作フィールだけでなく、直感的に触れることやハンドレストによる扱いのよさなど、見所は多いです。中に電話操作キーパッドを内蔵したハンドレストのデザインも秀逸。蓋が壊れやしないか、ベージュ系だと汚れが目立たないか、などと余計な心配もありますが・・・、貧乏人の発想と反省してみました。
タウンスピードから高速走行へ転じても、乗り味にいささかの変化もないのが嬉しいです。要するに、ドライバーの心を乱しません。これは運転が非常にラクで疲れないということと同義。特に超高速域でのクルージングは快適を通り越して痛快ですらありました。決して運転を楽しむというたぐいの痛快さではなく(それでは結果的に疲れる)、どこまでも完璧に信頼してドライブできそうな、これまでにない感覚がめぐりめぐって楽しいんです。あまりにもラクで、冷静で、速く、独特の走り味にリラックスしながら笑ってしまうくらい。
趣味のクルマでなく、実用的な高級車とはこういう姿なのでしょう。新型W221Sクラスは、21世紀生まれのライバルたちを機能豊かな乗用車として、イッキに抜き去る実力の持ち主です。明日はエントリーモデルであるS350についても触れてみます。まぁ、ムービーではS350を先に紹介しますが・・・。いずれにせよW221恐るべし、です。買える人には大いに勧めます。続きはまた次回。

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