9月17日付けのCAR誌のスクープ記事として、VWグループからブガッティが切り離される、と報じていました。自動車王国として取り上げていなかったのは報じられていた売り先がクロアチアのリマック社である、ということに疑念を抱いたからです。
創業者のメイト・リマック氏はBMW M3でレースを楽しむエンスーでしたが、クルマが壊れて電気部品を購入してEV化したのがリマック創業の始まり、とクロアチアン・ドリームですわ。2009年に創業したとき、若干21歳・・・。
インホイールモーター、高出力バッテリー、トルクベクタリング(4輪インホイールモーターを電子制御して安定性を確保)、というリマックのEV“方程式”を用いて、2011年には「コンセプト・ワン」を発表。たしかに、物凄い加速力を披露していました。
でも、8台しか生産していませんよね?しかも1台はBBC「TOP GEAR」で撮影中にスリップ、坂を転がり落ち炎上・・・。運転していたリチャード・ハモンドは足を骨折するも命に別状はなかった、ということでリマックにとっては良い宣伝になった・・・、のかもしれません。
でも技術力は確かなようで、モンスター田島のパイクスピーク・ヒルクライム・マシンにパワートレインとバッテリーを供給していました。
CRUNCHBASEで出資履歴を見るとEUの中小企業支援金、中国のバッテリーメーカー「キャメル・グループ」、ポルシェの投資会社「ポルシェ・ベンチャーズ」と「ポルシェ」、韓国の「起亜」と「現代自動車」などが株主として収まっています。なお、CAR誌によるとジャガー、ケーニグゼグ、マグナなども株主だそうです。それにしてもリマックの人材募集数、多くないですか?w
故フェルディナント・ピエヒVW会長の肝いりで買収されたブガッティ。VWの大株主は故ピエヒ会長の親族という関係性を鑑み、ポルシェが出資しているリマックなら株式交換による買収もスムーズに進みそうだし、EV化も容易だし、って話のようです。しかも、メイト・リマック氏、先日、ブガッティの工場を訪れたことも、この買収話に尾ひれ背ひれが付いている理由かもしれません・・・。
そして9月30日付けのロイターは、VWがブガッティのみならず、ランボルギーニ、ドゥカティの売却も検討中、と報じました。情報ソースは匿名のVW関係者2名だそうです。いやぁ・・・、ブガッティの昨年の販売台数って、たった82台だったんですね・・・。
自動車アナリストが指摘するにはVWはブランドを多く抱えすぎていて、高コスト&低利益体質なんだそうです。プラットホームや部品の共有化、購買ボリュームの多さから発生する購買力、R&Dコストの分配などが複数ブランド保有のメリットだったはずなのに・・・。なお、VWグループはトヨタよりも従業員数はほぼ倍で、発行株式の時価総額は約半分なんだそうです。あとは、VWグループによる排出ガス不正による罰金、かなりのボディブローになっているようですね・・・。
ロイターがVWのヘルベルト・ディエーズCEOにインタビューしたところ「あらゆる可能性を探っている」とだけ回答があったそうです。11月の取締役会を経て、何らかの動きがあるやもしれません。