ところが、このストレートが途方も無く長かった。
時間のある人はスペインの地図を探してみて欲しい。
マドリッドからコルドバへと向かう高速道路だ。まるで定規で線を引いたかのような直線になっているのが判ると思う。世界地図で見ても直線に見えそうなぐらい長い。
明るさに眠気が重なってきた。心が緩んだのかも知れない。
とかく闇は人を弱気にさせ、寝ては行けないから緊張を強いる。
それが一気に弛緩したのだった。
途方もない眠気が襲ってくる。
ただ、私は眠気と格闘しつつ高速をドライブするのが得意な方である。
それに、眠たそうに運転していて、隣から“大丈夫?眠たいんじゃない?”と言われるとムキになって“まだまだ”と言ってしまうタチだ。
そんなときは、“そろそろ俺も運転したいんだけどな”と水を向けてくれる方がありがたい。
ともかく、私は延々と続く、このままセビーリャまで続いてくれるのならそれはそれで結構な話だが、ストレートをなんとか走り切った。拷問にも等しい数十分間ののち、ようやく現れた緩いコーナーに、私は小躍りしそうになった。ハンドルを切るってことがどんなに楽しいことか!それこそが運転だと知ったとき、曲がりたがるBMWの価値を改めて思い知ったのだった。
夜が完全に明けた。
雲1つない、というのは嘘で、8つぐらいは前方に見えたが、快晴には違いなかった。
暑くなりそうだが、われわれにはまだ500km弱の行程が残されていた。
俺たちのミッレミリアPart17
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執筆者:koganemushi