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クルマの評価軸を変えるトヨタプリウス

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徹底進化版の3代目は10・15モード燃費38km/l

初代誕生から実に12年。トヨタのハイブリッドカー戦略がようやく大輪の華となった。この原稿を書いている時点(5月末)で注文しても納車は5ヶ月後。自動車の国内販売、輸出ともに落ち込みが続く中、正に”一人勝ち”の様相を呈している。


人はプリウスの何にそこまで惹かれるのだろうか。燃費がいいこと/静かに走ること、といった性能は言わば結果論で、ハイブリッド車という言葉の響きからもたらされるイメージ= “今までとは違う”クルマであることを最も分かり易くアピールすること、に惹かれるのだと思う。多くの人(統計的にはほぼ半数)が、次は環境対策車が欲しいという。クルマ離れではなく、違うクルマが欲しかった。ハイブリッドと言えばプリウス、というブランド力を12年掛けて作ってきたトヨタの勝利というべきか。もちろん、プリウスとして進化を遂げ、今このタイミングでフルモデルチェンジできたというツキもあった。モデルチェンジの中身は、二代目プリウスの徹底進化版。エンジン排気量を上げてエンジンだけで走るパート(高速走行など)における燃費を稼ぎ(パワーはないが効率のいいアトキンソンサイクル 1.8Lエンジンを採用した)、バッテリー/モーター/システムのハイブリッド系は軽量・高効率化を押し進めた。アイドリングストップや電動ウォーターポンプ、低転がり摩擦タイヤ、エアロダイナミクスボディなど、燃費向上に役立つありとあらゆる手段を取り入れている。
シルエット的にはほとんど先代と見分けがつかないスタイリングとなった。ヘッドライトなどディテールのデザインで新しさを演出しているが、空力を考えればこのカタチに落ち着かざるをえないということ。専用ボディでハイブリッド車をアピールしたいという思惑が生んだカタチで、これはホンダインサイトも同じだ。ちなみに、ホイールベースは先代と同じ寸法である。外観がさほど目新しくない代わりに、インテリアは斬新な印象を与えるものになった。特に、センターのブリッジに目を奪われる。下の空間はトレイになっており、ブリッジ上には小さなシフトノブとカップホルダーが備わった。メーターはセンター式。速度計などとともに、エコドライブモニターが映し出されている。
電源を入れて、クルマを”起動”する。もちろん、エンジンの音はない。センターディスプレイもそれほど大きくないから、ナビモニターがなければ、音や色、スイッチ類で賑やかなクルマに慣れた身には寂しいかも。
エコドライブモニターによれば充電量も十分だったので、まずはEVモードで走り出す。商店街などでは”音がしない”問題もあるだろうが、住宅街のガレーヂを早朝や深夜に出立という場面では嬉しい。充電の状態にもよるが、最大で2km・55km/hまで電気走行が可能だ。バッテリー容量が目盛りで3を切るとエンジンが自動的に始動する。ここからはハイブリッド走行だ。パワーが欲しいときにはエンジンとモーターによる共同作業が行われ、ブレーキング時にエネルギー回収(回生)、アイドリング時にはエンジン停止を行う。
ライドフィールは独特。下半身が重く、どっしりとした走りをみせる。従来のクルマの評価軸からすれば、ハンドリングや乗り心地など物足りない点は多い。静かで燃費がいいだけのクルマ、なんて厳しい言い方もできるだろう。逆に言えば、これがフツウに受け入れられると、例えば従来は自然にしなやかに動いていたクルマも、動きが過敏過ぎて怖い、といった違う評価に変わる日がくるのかも知れない。いろんな意味で、今後の自動車に影響を与える1台であることは、間違いない。

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