Bloombergをチェックしていたら、面白い記事がありました。
アメリカ・エネルギー省長官を務めるスティーブン・チュー氏。
ノーベル賞受賞者でバイオ燃料や再生エネルギーの第一人者でもあります。
そんな彼が、エネルギー省として水素ステーションのインフラ整備予算削減を
打ち出しているんです。これが大きな物議を醸しています。
まぁ、2009年にも「オバマ政権は水素を用いた燃料電池車からは距離を置く」
と発言したことで話題を呼んだんですけどね。
そりゃ、そうでしょう。GM、ダイムラー、トヨタなどは燃料電池(水素を燃料とする)車の開発に
躍起です。2015年までには燃料電池車の市販を目論んでいます。今までに自動車業界が
全体で燃料電池車開発に投下した研究開発費は1兆円を下らない、と言われているほどです。
内燃式エンジンの進化、電気自動車、バイオ燃料車、そして燃料電池車すべてが今後の
環境を守るために必要、と謳われてきました。そこでいきなり「燃料電池車はまだ現実的では
ないから、水素ステーションのインフラ整備予算は削減」と言われても・・・、ってことでしょう。
トヨタは2015年までには燃料電池車を1台5万ドル程度での販売をする、と明言しています。
5年ほど前は1台1億円が相場だったのに、凄いことですよね?航続距離も現在の内燃式
エンジン車ほどで、プラグイン・ハイブリッド車の充電よりも素早く燃料補給(水素の装填)が
できるんです。もちろん、CO2排出量はゼロ。必要なのは水素ステーションの拡充、
という段階なんです。
具体的には1.77億ドルあった予算から、1億ドルへ削減です。チュー長官の言い分としては、
天然ガスから作る水素を使う燃料電池は、CO2削減に十分ではない、とのことです。
エネルギー省の言い分では天然ガスから生成した水素を用いると、CO2排出量は現在の
最もクリーンなガソリン車の半分・・・、って悪くないじゃないですか(笑)?
現在、アメリカでの水素ステーションの数は58です。
これを拡充していかないと、燃料電池車の普及はあり得ません。
ちなみにドイツは1000箇所(予定)、日本は2015年までに100箇所、
韓国は来年末までに50箇所、2020年までに100箇所と発表しています。
排出ガス規制の厳しいアメリカ・カリフォルニア州では、自動車メーカーは2015年から
2017年までに最低でも5万3000台は燃料電池車を投入しないと規制をクリアできない
試算がなされています。
燃料電池車に注力してきた自動車メーカーにとっては、ちょっと耳が痛い話です。
まぁ、エネルギー省による補助なんかなくても、民間が普及させるような雰囲気も
ありますけどねっ(笑)。引き続きフォローしてみます。
Our View
There was an interesting article on Bloomberg concerning DOE boss Steven Chu.
He wants to cut budget of hydrogen stations… which sounds gloomy to the future of
fuel cell vehicles. But just because DOE cuts budget doesn’t prevent from private
sector investing in hydrogen stations, does it?