ロールスロイスのラジエーターグリルに配される、マスコットは「スピリット・オブ・エクスタシー」
と呼ばれています。「フライング・レディ」と呼ぶ人もいますし、世界中で最も知られた自動車の
マスコットかもしれません。
そんなスピリット・オブ・エクスタシーが商標登録されてから、先週で100周年を迎えました。
イギリス・ロンドンでは歴代ロールスロイスが記念パレードをしたようで、YouTubeにその
模様がアップされていました。でも、さほど面白いものでもないので自動車王国では
取り上げていませんでした(笑)。
現在、ロールスロイスにスピリット・オブ・エクスタシーを納入しているのは、イギリスのPOLYCASTという会社です。1体の完成までに1週間/人の手間暇が掛かるそうです。
蝋でマスコットを作り、セラミックでコーティングし、蝋を溶かすことで型を起こすんです。
そこに1600℃に熱せられた鉄を流しこんで、冷却。今度はセラミックを剥がし、
サンドブラストし、手作業で磨き上げるんです。
っで、なぜにこのネタを取り上げることになったかといえば、スピリット・オブ・エクスタシー
誕生の秘話に注目したんです。諸説あるとは言われているんですが、最も有力なのは
「エレノア・ヴェラスコ・ソーントン」女史がモチーフだということです。
これはロールスロイスも認めていることですが、今となっては誰も確認できないようです。
エレノア・ソーントンは、イギリス・ボーリューを統治していた領主、ジョン・ウォルター・エドワード・
ダグラス・スコット・モンタギュー(はい、フルネームです!:以下、ジョン・モンタギュー)に
見初められたんです。しかし、彼は貴族。対するエレノア・ソーントンは平民でした。
1902年、二人が出会ったのはエレノア・ソーントンが働いていたRAC(日本で言うところの
JAFのような存在ですが当時、車を所有できたのは一部の大富豪のみ)。彼女は22歳独身で
ジョン・モンタギューは36歳既婚者。禁断の不倫愛が15年間繰り広げられたんです。
思いっきり掻い摘むと・・・。エレノアはジョン・モンタギューのアシスタントとして
Car Illustratedという自動車雑誌社で勤務。1911年、友人であるロールスロイスの社長に、
これまた友人であるアーティスト、チャールズ・サイクスにマスコットを作らせよう、と
ジョン・モンタギューが話を持ちかけたんですって。この時のモチーフがエレノアだったそうです。
友人に「やろうよ!」とかけたひと言で、スピリット・オブ・エクスタシーが採用されたとは
意外じゃありません?しかも、不倫相手がモチーフだったなんて(笑)。
二人の不倫愛、ストーリーとしては結構なラブドラマなんです。
①エレノアは身ごもるがシングルマザーの難しさから、子供を養子に出す。
②本妻は二人の関係を知るも、特に興味を示さず。
③インド出張のためエレノアとジョン・モンタギューが乗った船がドイツ軍によって沈没。
インド出張前、本妻がエレノア宛に「面倒見てあげてね」と手紙を送る。エレノアは本妻宛に
「人間として出来うる最高のお手伝いをさせて頂きます」と返信・・・。
④エレノアは死亡、モンタギューは36時間漂流したあげくに助けだされた。
⑤ジョン・モンタギューは養子の居場所を突き止め、会っていた。遺言にも財産分与が
なされるよう手配。ただ具体的に「誰」とは記載されておらず、親族はしばらく分からなかった。
ちなみに2008年、二人をモチーフにした映画「Silver Ghost(はい、乗っていたロールスロイス
です)」の製作発表がなされましたが・・・、途中で頓挫しているようです。
Our View
No one knows how the Spirit of Ecstasy came to life as a mascot on Rolls Royce, for
sure. But here is a nice love story about the Lord Montague who commissioned the
Spirit of Ecstasy. Click here.